不良を減らす方法~標準書類はどう掲示するべきか

工学的なこと
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どこの製造現場でも標準類と呼ばれる書類が多く存在する。
使用する刃物や治具や加工寸法および作業手順を定めてある標準作業書、設備の日常点検方法を定めた標準書とその記録用紙等が代表なものだ。
その他、品質不具合や安全災害が発生したことを注意喚起する書類などを掲示することも多い。
これらの書類は標準を定めてあるのだから、当然管理状態になければならない。
書類改定の必要がでたときに、それらの書類がどこに何枚存在しているのかわからなければ、抜け漏れが生じて大変なことになる。
例えば寸法公差が変更になったのに古い標準で製作してしまうといったようなことが起こり得る。
そんな文書管理を現場でどうやって行っていくかである。
ファイルにまとめて一元管理ができればいいに越したことはないのだが、そう単純にもいかない。
一部の標準種類(特に作業に直結する手順書や点検書など)は常に作業現場に近いところに掲示することを求められるからである。


この掲示方法をどうするか?これは大抵2つの方法に分かれると思う。
①作業ステーションや機械設備ごとに貼り付ける
②専用ボードを設け集中掲示する
実はこの2つの方法どちらをとるかによってその現場の管理レベル、不具合が多いかどうかも即時にわかってしまう。
それはなぜか?
この2つの方法にはそれぞれ相反するメリットデメリットがある。
①作業ステーションや機械設備ごとに貼り付ける
これは作業者には便利である。自らの使用する書類がすぐ近くにあるからである。
しかし管理者にとってはいちいち全行程、全設備を回らないと確認できないし、普段現場にでない上級管理職にとってはどこに何があるのかすらわからない。
②専用ボードを設け集中掲示する
これは管理者には便利である。工程や機械の状態が瞬時に把握できるからである。作業者にとっては書類を持ち運ぶ移動のロスが生じるので少し不便ではある。
つまり作業者主体とするか管理者主体とするかの違いであるが、①の作業者主体にしてしまうと以下のような問題がおきる。
・管理者の目が行き届かなくなり点検を怠る、処置が遅れる
・作業者が勝手に書類の位置を変更したりして、どこに何の書類があるかわからなくなる、無くなっても気づかない
・管理者が文書管理やりずらい=やならくなって改定漏れが生じる
上記のような状態になると作業者が勝手な作業したり検査を飛ばしたりといったことをしだす(ブロークンウインドウ理論)


これが品質不良や不具合流出につながるのである。
この種の不具合はたちが悪く、いくら立派なルールや仕組みを作っても、それを守らないとなると対策のうちようがない。
なら極力自動化すればいいと考える人もいるだろうが、そこに必ず人間が絡む以上は何らかのルールは必要なるし、そもそもそんな投資は中小企業には不可能である。


不良でお困りの現場は、まず標準類の管理方法から見直してみてはいかがだろうか。